識学を導入いただく以前、「組織マネジメントについていろいろと模索していた」と仰っていましたが、識学と他のマネジメントとの決定的な違いは何だったのでしょうか。
答えは結構シンプルで、識学自身が識学のマネジメントを忠実に実践していた。つまり、本音と建前に差がないんです。というのも、よくある組織マネジメント教育を事業としている会社は、意外と自社の論理で100パーセントはマネジメントしきれていない。
そのマネジメント方法が間違っているわけではなく、例外がたくさんあるのでプラスアルファが必要になってくる。つまり、理論として完全には完結していないんです。そうなると、社内で導入した際に反発が生まれるでしょう。識学にも少なからず例外は生じますが、大した量ではなく許容範囲内。ここが識学を導入した大きなポイントでした。
識学を社内に導入いただく際、工夫したことなどはありますか。
「識学を導入する」とは伝えませんでした。というのも、以前、代表を務めていた会社の社員は自分たちでなんでも判断したがるので、「識学を導入する」と伝えてしまうと「自分もすべて把握してから導入するか否か判断させていただきます」と反発されてしまう。
なので、「うちの会社の制度にはこういう問題点があるから、こう変えていく」というのを一つひとつ説明していきました。
中でも大きなポイントとなったのは、完全結果で物事を判断していこうと。以前の会社では自由がゆえに個人が高いパフォーマンスを発揮していました。しかし、それが結果、全体のパフォーマンスを阻害していた。なので、これからは完全結果で判断していこうと。
もうひとつは、説明責任を果たすのは終わりにすること。従来、上司は部下に対して説明責任を果たす文化が根付いていましたが、これからはもう説明責任を果たす文化は止めにしようと。このふたつが導入の際に大きなポイントだったので、このふたつを十分に腹落ちさせたうえで、本格的な導入にいたりました。このふたつの要素を踏まえ、新たな組織マネジメントについて考え直さないといけないと思ったんです。