組織に識学を浸透させるため、
社内の共通言語を識学に
識学のトレーニングを受けてみて、印象に残っている内容をお聞かせください。
金銭的な問題もあり、まずは私ひとりでトレーニングを受けたんです。そのうえで、私が部下たちに落とし込んでいこうと考えました。でも、ある程度ビジネスに精通していたり、それまでに規律やルールがしっかりした組織で働いていたりすれば受け入れられると思いますが、運送会社となると業界柄そうもいかず……。すぐに諦め、私だけでなく5人の部下にも同じように識学のトレーニングを受けてもらう形に変更しました。
ただ、トレーニングを受けただけでは吸収できないと思って、トレーニング中の動画を撮って何度も見返すようにしました。これには他にも目的があって、識学で使う用語をそのまま吸収しようとしたんです。識学では、たとえば「位置ずれ」や「成果視点」など、聞き馴染みのない用語がたくさん出てくるんです。なんとなく識学の原理原則を吸収するのではなく、識学用語も完全に覚えることで、社内の共通言語を識学にしたかったんです。今となっては、私はもちろん、部長ももう識学マニアになってますよ(笑)。
識学を導入したことで、組織の課題は解決できましたか。
社員の「免責」が弱まったのは課題解決に大きくつながっていますね。識学を導入する前は「実行する・しない」で考えたときに、あらゆる理由を付けて「できない」という選択をしていたんです。でも今は、実行するにはどうするべきかを考え、それでも実行できないならどうすれば実行できるかという考えに変わりました。免責は免責でも、質の高い免責になったのは弊社にとって大きな進歩だと感じています。
また、組織構造が体系化されたことで、しっかりと事実情報が上がってくるようになったのも大きな進化ですね。これまではそれぞれの部下に対してトップダウンで情報を吸い上げ、その情報のみを頼りに経営判断するしかありませんでした。手間や時間がかかるだけでなく、情報量には限界がありますよね。一方、今はわざわざ私が吸い上げにいかなくとも、ほぼすべての情報が私の元に入ってくるようになりました。
これによりふたつのメリットがあって。ひとつはシンプルで、情報をキャッチしにいく手間がなくなったこと。これまでは全体の1割くらいしか社長業に割くことはできませんでしたが、今は4割ほどを社長業に専念できるようになりました。もうひとつは、ほぼすべての情報が私の元に入ってくるので、その情報を元に経営判断ができるようになったこと。俯瞰的に会社の状況を見渡せるので、注力するべき部分を的確に判断できるようになりました。
また、弊社は200名のドライバーと業務委託契約を結んでいるのですが、ドライバーの質もすごく良くなりました。管理者が変われば、その下の人間も変わりますよね。識学を導入したことで社員の免責の質が上がるなど、管理者の質が上がりました。ドライバーを管理している社員の思考が変わったことで、それに伴ってドライバーの質も良くなりました。
もちろんそれだけではなく、ドライバーに守ってほしいルールを定めたことも質の向上に貢献していて。たとえば身なりや服装、言葉遣いなどの基本的なルールを明確にするのはもちろん、なぜルールを設定するかという話も事前にするようにしています。さらに、評価制度を導入する事により結果で判断されるためドライバーの業務の質も上がっているだけではなく、契約が解除になるドライバーも減っているように思います。
弊社は200名ものドライバーを抱えていて、しかも質の高いドライバーばかりなので、業界内では「Shake heartはドライバーをどう管理しているのか?」と良く聞かれます。