組織が整っていないのは社長である自分のせい。
トレーニングを受けたことで「他責」から「自責」に変化
識学のトレーニングを受けてみて、印象に残っている内容をお聞かせください。
これまで順調に事業が成長して会社としてのステージがどんどん上がっていく一方で、その流れや速さについてこれずに人材が入れ替わってきました。こういった問題が起こっても「ベンチャーだからしょうがない」「今は苦しい時期だから」とすべて他責で考えていたんです。
でも、それはただ責任を押し付けているだけで、結局は社長である私のせいだということを思い知らされました。社長がどういう意思決定をし、何をすべきか明確にしてこなかった。さらには役割を明確にせず、権限委譲もしてこなかった私のせいなんです。トレーニングを受けたことで、「すべての責任は私にあり、私自身がまずは変わらないと会社は変わらない」と考えが変わりました。
識学を導入したことで、組織の課題は解決できましたか。
いくつかありますが、まずは組織が整ってきたのは大きいですね。これが一番課題に感じていましたから。
きちんと役割定義をし、責任の範疇を細かく分けました。その結果、たとえば何か問題が起こってもすぐに顕在化され、問題が起こっているポイントが明確になったので、改善するべきポイントも明確になりました。識学を導入する以前は、そもそも問題自体が顕在化されなかったので、「今、どうなっている?」「なぜこのような状況なのか?」と経営陣がキャッチアップしにいく必要がありました。今はそれぞれが決められた責任の範疇で業務を遂行しているので、「ここで問題が起きているので、こうしたい」などと事実情報が黙っていても上がってくるようになったのです。
あとは、役割定義をして責任の範疇を細かく分けたことで、私の権限も多くが委譲できました。その結果、本来、社長が取り組むべき業務に集中できるようになりました。これまではワンフロアでスタッフの顔が見えるところに机を置き、率先して声を掛けるなどしていました。
むしろそれがモチベーションアップにつながると思っていたので、話しかけられても自分の仕事が進まないと思いながら快く対応していたんです。でも、現場のことを分かっているつもりでいましたし、それを良しと考えていたのですが、じっくり話を聞くとまったく違うポイントで問題を抱えていて。辞めてしまうスタッフも少なくなく、自分の仕事を止めてまでコミュニケーションをとっていたことに意味はありませんでした。
一方、今は違うフロアに社長室を作り、物理的にコミュニケーションすら取れない状態になりました。権限委譲をして役割を整理したことで、私が関わるべきことが明確になったからこそ、私に直接情報伝達がなされなくとも問題なくなったのです。
時間の使い方として、これまでは採用関係が4割、現場の業務が3割、それ以外の雑務が3割。つまり「現在」や「少し先」のことにしか時間を割くことはできず、「未来」へ投資するための時間は業務外の時間を使ってなんとかこなしている状況でした。でも今は、ほとんどを「未来」に対する事業の投資や、新規事業に関わる時間に割けるようになりました。
あと識学導入前に不安に思っていた、会社の雰囲気と合うかどうかという点について。そもそも識学について勘違いをしていただけで、まったく問題ありませんでした。というのも、以前は自由でラフな雰囲気というよりは、それぞれの役割や責任が不明確なだけで、結果、何をやるべきかが分からなかった。それをただ「自由な雰囲気」というひと言で片付けていただけなんです。今思うと、経営陣が何を考えているかも伝わっていないので、自由といいながらすべてが不明確なので働きづらかったと思うんですよね。でも役割や責任、ルールが明確になったので、何をするべきかも明確になりました。目指すべきゴールも明確になり、むしろ働きやすくなったと感じています。
まだ識学を導入して期間が浅く、どこまでリンクしているかは定かではありませんが、離職率も5%にとどまっています。これも識学を導入した大きな効果のひとつだと実感しています。