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識学コンサルタントが解説! 新卒マネジメントの極意
シニアコンサルタント東京営業4課課長 堀江

2022年10月6日

新卒マネジメントの極意①評価する側からされる側に

はじめに、皆さんに質問です。新卒社員は、社会人になるまで企業とどのような立場で接してきたでしょうか。

この質問は、当社が提供する新卒研修の内容の一部です。皆さんはどう答えますか。
正解は消費者です。学生や社会人に成り立ての人であれば、就活生、内定者といったワードが出てくるかもしれません。いずれにせよ、社内の人ではなく社外の人という立場です。
しかし、新入社員として採用された会社で働き始めたら、社員という立場に大きく変わります。

入社するかどうか企業を評価していた立場から、企業から評価される立場に大きく変化したことになります。言い換えると、学生と社会人では評価の方向性が異なるということです。
この変化にいち早く気付くことができるか。また、企業や社内の人間は、いち早く気付づかせることができるか。これらがマネジメント上のポイントになってきます。

新卒マネジメントの極意②会社のルールを守らせる

では、どのようにそれらを気付かせたらよいでしょうか。まずは、新入社員に関わる全ての方々のスタンスを変えることです。
入社するまでは、時間をかけて採用してきた人材が辞退されても困るわけですから、学生というより、お客さまと接するような振る舞いをしてきたはずです。少々気になることがあっても見て見ぬ振りをしたり、大目に見たりしたことでしょう。
しかし、入社後もこのスタンスで新入社員に接していてはいけません。新入社員が勘違いします。例えば、会社や上司を評価するようになる恐れがあります。
 

「この会社ダメだな」
「あの人数字目標全く達成していないじゃん!」


こうならないようにするためにも、まずは会社が定めるルールを認識させ、守らせることから始めてみてください。
会社から評価される立場になったわけですから、会社の一員として守るべきルールは守らせる。守ることができていない新入社員がいれば、上司や先輩社員が指摘する。守ることができていない新入社員がいれば、上司や先輩社員が指摘する。これらがなされていない、もしくは甘くなっているような組織であれば危険です。
思い起こせば、私が新卒で入社した某生命保険会社では、下記のルールがありました。


・スーツのスラックスにはセンタープレスを当てて出社する
・上司が参加する朝礼・会議ではマスクの着用禁止
・上位者に対しては元気よく挨拶する
・日経新聞を毎朝読みトピック記事に対する感想を三つ用意する


上記ができていない社員は躊躇なく指摘される組織でした。よい意味で毎日緊張感があり、社会人一年生として育てていただいたと思っています。

新卒マネジメントの極意③上司と部下の位置関係を保つ

昨今、上司と部下の距離感が近いマネジメントが推奨されているような風潮があります。飲みニケーションや1on1ミーティング、部活動などを否定するつもりはありませんが、すべて注意が必要です。上司と部下の関係から考えてみましょう。
上司と部下の関係は、あくまでも組織内における役割で構成された位置関係に過ぎません。上司は部下を成長させ、自チームを勝利に導く責任があり、部下は仕事を実行する責任を担います。
会社内において、上司と部下の関係はこれ以上でもこれ以下でもありません。そのため、距離を縮めようとするマネジメントは、この上司と部下の役割における位置関係を壊してしまう原因になりかねないということです。

「何か悩みはないか?何でも相談に乗るから言ってこいよ」
「よく頑張ったな。今日はお祝いに飲みにいこう」

初めの1、2回は、効果があるかもしれません。しかし、これが継続的に行われると本来の意図からは外れてしまいます。「この人とは合わない」とか「この人は気が利かない」など、上司と部下の関係ではなく、個人的に好きか嫌いかで人を見るようになってしまうのです。挙句の果てには、「この上司の指示は聞いても意味がない」など、上司の言うことを無視するようになってしまう恐れもあります
私は、今でも上司は怖いです。なぜなら私を評価する人だからです。人として怖いということではなく、上司からの評価を勝ち取れない場合、その組織のなかでは生きていけません。

これは、新卒1年目に仕えた上司から教わった考えです。
その上司は、感情的になるタイプではなく、常に冷静で相談をしやすい上司でした。しかし、部下とは一定の距離感を保ち、個別に飲みにいくなどということはありません。そのおかげで、誰に対しても正当な評価をしてくれました。
距離が近い上司がよい上司とは限りません。今この瞬間ではなく、未来に向け成長させてくれる上司であるかどうかが、部下にとっては重要であるはずです。

新卒マネジメントの極意④目標設定と評価基準 組織における成長イメージ

「あなたは、この3カ月間で何を会社から求められていますか」
「あなたの給料は、どうすれば上がるのですか」
「入社3年目までに取得しなければならない資格はなんですか」


皆さんの組織で働く新入社員たちに上記の質問をした場合、何人が答えられるでしょうか。私は、社会人になって10年以上たちますが、いまだに新卒1年目のときの目標をはっきり覚えています。個人の生命保険獲得件数、個人の生命保険金額、社内テストの点数、ファイナンシャルプランニング技能士2級と日商簿記3級の取得。社会人1年目の飛び込み営業からスタートしているわけですから、どうやってお客様を獲得するのかなどの悩みはもちろんありましたが、目標がはっきりしていたので、やるべきことへの迷いはありませんでした。
そして評価基準も明確でした。同期入社の中で営業実績、テストの実績で順位付けされるわけです。そして上位7人が高い評価を得ることができました。


「なぜあの人が」
「私の方が頑張っていたはずなのに」
「あの上司は贔屓をしている」

こういったねたみや陰口は一切ありませんでした。なぜなら、あらかじめ評価基準は定められていたからです。
「最近入ってきた新入社員に何をさせていますか」という質問を経営者にしたとき、「入ったばかりだからOJT(現任訓練)で仕事を覚えさせているところだよ」という回答をもらうことがあります。ただ、このとき目標と評価が明確であることは少ないでしょう。「新入社員はとりあえずOJT」となっている会社が多いかもしれません。


OJTは目標を達成するための手段です。目標がないままでは効果が期待できません。ぜひとも新入社員の目標と評価基準を作成してみて下さい。
できれば、入社後3カ月、半年、1年、2年、3年、5年後の目標を作ってみてください。自身がその組織でどのように成長していくべきか示されていることで、成長速度が増す社員が出てくるでしょう。その結果、組織に化学反応が起き、組織全体の活性化につながるはずです。


新入社員の成長スピードが遅かったり、早期離職が起きてしまったりした際、若者の価値観や特性という言葉を言い訳にしてしまいがちですが、実は組織やマネジメントに問題がある可能性も少なくありません。この記事が、皆さんの課題解決に少しでも役立てば幸いです。