増えていく離職率。規模拡大へ向けて社内整備を決意。
識学を導入いただいた経緯についてお聞かせください。
樋口:会社設立後は社員を増やしていきました。自分以外の営業も増やし、2年ほど前には従業員の数もトータルで130人くらいまで増えました。売上も順調だったので、みんな幸せだと思いこんでいました。
それに、なるべく一人ひとりの社員の都合に合わせて待遇と言いますか、たとえば会社を休みやすくしたり、給与の相談も個別に受けていたりしましたので、自分としてはホワイト企業だと思っていました。確かに規模が小さかったときはこれでうまくいっていたのですが、人数が増えていくに連れて、個別対応はそのまま不満に変わっていきました。
「何であの人だけ優遇されるのか」という種類の不満です。その結果、何故かやめていく人が多く、離職率は30%を超えていました。エンジニアが使い捨てられない社会を目指しているのに、これでは本末転倒だと思って、考え方を変えました。
放任と自由の区別がついていなかったのですね。
はい。
みんなが好きなように働けたらいいと思って個別対応していたのですが、それは言い方を変えれば無責任な放任スタイルなんですよね。本来、自由には責任がついて回るものなので、やるべきは責任を明らかにした自由スタイルでした。
もう一つあるのが、SESという職種です。弊社のSESは自由に考えるというよりも、ゴールに向かって直向きに歩みを進めていくタイプの仕事ですので、自由は性に合わないというのもあったのではないかと思います。
また、それぞれの職務を丁寧に説明してなかったというのもありました。
「はい、あなたは取締役」
「君は来期からリーダーでお願いします」
と、単純に役割を提供していただけでした。
要は組織的には問題だらけだったのです。
その時に、ここから先同じように人を増やしていっても、また同じ問題が起きてしまう。今後規模拡大をしていく中で、社内の整備をする必要があると感じました。
社内整備は売上とは直結しない部分、内部の問題なので、どうしてもコストが気になっていました。なのでなるべく自力でやろうと、片手間ではありましたがいろいろとチャレンジをしました。けれど、結局きちんとした制度化は出来なかった。
外部の方を、コンサルタントを入れることに抵抗のある企業は当社も含め多いと思いますが、自分でやることに限界も感じていました。すでにコンサルタントを導入している企業の社長に話を聞くと、会社の成長のためなら手段を択ばずにどんどん外部の人を入れて費用もかけた方がいい、と聞いて、自分のこだわりを捨てて導入をすることに決めたんです。
当時の御社の問題点としては、離職率が挙げられるのでしょうか。
樋口:離職率はひとつの結果でしかありません。
なので、要は組織運営、つまり経営の本質部分だと思います。組織には役員がいて、部署にはリーダーをつけるということを、あまり考えないでやっていた部分もあると思います。本当にやらなくてはいけなかったのは、樋口総研らしい組織とは何かを考えることでした。
そんなとき、識学さんと出会ったんです。