世界最大の不動産フランチャイズチェーンである「センチュリー21」に加盟し、千葉県松戸市・柏市・流山市を中心に、地域に密着して不動産事業を手掛けている五大ホーム。
経営幹部が売れない社員を励ましたり叱責したりする感情的なマネジメントを続け、いつしか社員が主体的に行動できない風土を築いていた。
識学導入を機に社員の75%が入れ替わり、新たに採用できた主体的な人材が早くも活躍を開始。組織の足下を固め、これから会社としてステップアップしていく構えだ。
会社名 |
五大ホーム株式会社 |
所在地 |
〒270-0014 千葉県松戸市小金2番地 ピコティ西館106 |
代表者名 |
代表取締役 髙橋 秀輔 |
事業内容 | 不動産の売買・賃貸の仲介、買取再販、戸建分譲、管理 |
企業サイト |
問:まず、御社の沿革からお教えください。
当社は、不動産会社に勤務していた父親が独立し、1983年2月に千葉県松戸市で創業しました。自分一人で始めることに不安があったところ、同年10月に伊藤忠商事がアメリカのセンチュリー21本部と提携し、日本の現地法人であるセンチュリー21・ジャパンを設立したという報道に接したのです。これに意を強くしてさっそく加盟を申し込んだと聞いています。
以来、地域に密着する形で不動産の売買や賃貸の仲介、戸建分譲や買取再販といったサービスを手掛けてきました。
私は2011年に入社して店長を務めた後、2013年に2代目を承継しています。父親は会長に在任しています。
問:御社には、2021年11月に識学を導入いただきました。どういった課題があったのでしょうか?
当時の社員数は20名ほどで、マネジメントは私と役員を中心に行っていました。そのスタイルは、不動産業界にありがちな感情的なものだったわけです。売れない営業担当者は、個別に飲み屋に誘い出しては励ましたり、社内で叱責することも少なくありませんでした。私は役員のそんな叱責の声を聞くのが嫌だなと感じていたのですが、実は役員も私のそんな姿を嫌に思っていたそうなのです。お互い、さほど自覚はなかったのですが。
そのように、部下のモチベーションを気にして部下のところまで下りて行き、濃厚に関わろうとするうちに、いつしか部下は自ら行動しようとする主体性を失っていったように思います。部下は皆、指示待ちでした。言われたとおりのことをしていればそこそこ売れるし、構ってくれるからそれでいいと受け止めていたと思います。
問:そういう状況を変えよう、と。
識学を導入した2021年、実は売上、営業利益とも過去最高で絶好調でした。しかしながら、その要因はコロナ禍で在宅ワークが広がったことを契機に、都心部への通勤圏であった当社の営業エリアで庭付きの戸建を求める人が増えるという神風が吹いたことが大きかったのです。特に流山市は子育て世帯に大きな人気があり、人口増加率が日本でもトップクラスにあります。こんなことは長くは続かない、と思いました。ならば今のうちに、そうした風土を変えて、社員が成長できる会社にしておかなければならないといった危機意識がありました。
問:実際に導入して、どんな変化がありましたか?
大きかったのは、2年で社員の75%が入れ替わったことです。導入して3カ月後ぐらいから退職者が出始めました。それまでの、幹部が感情的に関わりながらどうしろと示していたマネジメントから、「どうすべきかは自分で考えよ」と突き放すようなマネジメントに代わったと受け止められたからでしょう。それが合わないと感じた部下が続出した形です。
問:一方で、中途採用に力を入れ、続々と採用を決めていかれました。
これも識学のコンサルタントにアドバイスしてもらい、求人広告では「叱責や社内イベントを廃止し、人事評価制度を導入しました」といった識学による組織変革を訴求しました。こうしたマネジメント方針を好む人材にヒットしたようで、ほかの業界からもたくさんの応募者がアクセスしてくれたのです。結果的に、現在は24名と識学導入前の規模を回復しています。
問:識学導入の効果はどのように評価されていますか?
新人はさっそく活躍してくれていますよ。2023年3月期の売上は10億円を突破し過去最高を更新しましたが、利益は在庫処分などで大きく下げています。これも今後の成長のための足場固めの一環ですが、組織変革による業績向上はこれから実現させていきます。今は、会社としての足下を固めることができたと実感できた段階ですね。
ちなみに、今後の売上計画としては、2025年3月期は昨対比106.9%、2026年3月期は110.6%、2027年3月期は109.6%の目標を掲げています。
問:最後に、同様の悩みを持つ経営者にアドバイスをお願いします。
経営者と接する中で、経営者の中には、社員旅行や懇親会を社の区切りのイベントとして行う一方、「本人の意向の有無」で参加・不参加を決定する運用を行う方もいらっしゃるのではないでしょうか。区切りのイベントをやるのであれば、原則全員参加にした方が良いと思います。社員個人の価値観を大事にしようとするあまり、会社の決め事に対して自己解釈できる余地を与えることになり、それが本来の業務においても影響を与えることが考えられるからです。そのことだけを申し上げておきたいと思います。
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