価格と品質を両立させた「“ちょうどいい”インサイドセールス」の代行サービスを手掛けているsoraプロジェクト。設立10年目の頃からそんなサービスの好評価が広がり始め、売上高が2018年度の1.2億から2022年度には12億円と、5年で10倍という急成長を遂げた。従業員の主体性を尊重し、大きな裁量を与えてきた成果であった。
しかしながら、組織も30名程度から120名ほどにまで急激に増加するとマイナスも目立つようになり、マネジメントが課題として浮上する。
そこで、識学に着目し導入。あらゆる業務にKPIを設定し、数値に基づく組織運営にシフトすることで課題が解消し始めている。
そんな同社の識学導入の経緯について、樋口社長に聞いた。
会社名 |
株式会社soraプロジェクト |
所在地 | 〒818-0041 福岡県筑紫野市上古賀3-1-1 |
代表者名 |
代表取締役社長 樋口裕貴 |
事業内容 |
営業支援事業(インサイドセールス代行ほか)、 コンサルティング事業(インサイドセールス立ち上げ支援)、 デジタルソリューション事業(Webマーケティング支援)、 システム開発事業(ビッグデータ活用支援、インサイドセールス用システム開発) |
企業サイト |
https://sora1.jp/ |
問:御社の事業内容や特長からお教えください。
約600ブース(業務委託含む)のコールセンターを擁して、BtoBの商談獲得のためのテレアポやインサイドセールスの代行、Webマーケティングの支援などを手掛けています。
強みは、2007年の創業以来重ねてきた、約1,300社・5,000件の実績です。当社では、これまであらゆる業種のBtoBマーケティングに携わってきており、全ての案件においてトークスクリプトを何種類も作成し、ABテストを重ねて何が最適なものであるかといったノウハウを蓄積しています。
このため、当社では平均アポ獲得率4.6%という高い品質レベルを実現していますが、リーズナブルな料金を設定した「“ちょうどいい”インサイドセールス」を標榜し、お客様に対して的確なご提案ができていると自負しています。
問:そんな御社は、2023年3月から識学をご導入いただきました。どういった課題があったのでしょうか。
創業から10年ほど経ったあたりから前述した特長の認知度が広まったのか、急激に案件が増え始めたのです。売上で言うと、2019年(2月期、以下同)は1.2億、20年は3.4億、21年は4.7億、22年は9.2億、23年は12億といったペースで、5年で10倍に伸びました。
これに伴って従業員数も30名(うち正社員5名)程度から120名(同55名)程度まで急増しました。そこで、マネジメントを考え直さなければならない状況になったのです。
それまでは、従業員のモチベーションを重視して裁量に任せるマネジメントを行っていました。特に2021年に私が社長に就任してからは新規事業を積極的に立ち上げる方針を掲げたので、提案してきたメンバーに全面的に任せていたわけです。
メンバーもそうしたスタイルを好意的に受け止めていました。伸び伸び自由に事業運営できたこともあって、結果的に前述のとおりの業績アップに繋がっていたのです。
ところが、ある時各事業の数字を見ると、赤字になっている事業があることがわかりました。担当者に聞くと、本人はそうした状況を把握していなかったのです。全社的に、各事業責任者が状況を把握する仕組みを統一していなかったからです。
それまでの私は、売上最重視で業績さえ上がっていればマネジメントなどしなくてもいいぐらいに思っていました。実際、一人ひとりに目が届いていたという感覚もあったからです。
しかし、赤字の存在に気づいてから、このまま人数が増えていってこのやり方を続けていたら収拾がつかなくなる、規律やルールが必要ではないかと思い直しました。そこで、識学を導入したという経緯です。
問:識学はどこでお知りになったのですか?
安藤社長の著書『リーダーの仮面』が話題になっていて、Kindleで無料で読めるキャンペーンがあった際に目を通してみました。その時は、自分のマネジメントスタイルと正反対の内容に「こういう考え方もあるのか」といった程度の感想でした。そのすぐ後で、私が参加している経営者団体で親しくさせていただいている経営者が識学を導入していることを知って、話を聞いてみたのです。その人は「今までのスタイルを変えることになったので退職者が出たけれど、結果とても良かった」と。その言葉が非常に印象に残りました。
問:ほかのコンサルティング会社などは検討されましたか?
識学含めて5社ほどを探し、話を聞いてみました。
問:識学に決めた要因とは。
識学のコンサルタントの方からは2~3回話を聞きましたが、自社の課題を根本的に解決できるのは識学である、と感じたことが大きかったです。
識学は数値化を重視し、事業の状況を様々なKPIで可視化するとともに、人事評価にも繋げるという“KPIから逃げない”ところが、営業会社である当社にマッチすると感じました。この数値化のマインドを社員に植え付けたいと思ったのです。
問:そこで、まずは樋口社長がトレーニングを受け、続いて部長クラスの6~7名の方に受けていただいています。これまでどういった効用を感じていますか?
まず、私自身は数値化について学んだことが非常にためになっています。各事業責任者に対して公平に数値目標を決め、達成を求める際に、納得してもらうために根拠を示す必要があります。その際に、リード獲得件数や商談獲得件数、継続率、役職別の人件費など様々なKPIを割り出す必要性を学べました。以前はこうしたKPIを細かく見ることなく感覚的にやっていましたから。
メンバーに対しては、「このKPIがボトルネックになっているから、ここを改善しよう」などと数値で具体的かつ明確に会話できるようになったことが大きいですね。会議の質も向上しました。
また、会社の状況が数値で可視化できるようになって、安心できるようになりました。赤字があっても、要因が明確にわかるからです。数値化によるマネジメントのほうが自分にはしっくり来る、以前のモチベーションを気にしていたマネジメントスタイルは、無理してやっていたと思うようにもなりました。
それと、以前は「社長とはカリスマであるべき」といった考えがあったのですが、安藤社長の「社長も会社の歯車」という言葉を知って楽になりました。社長もやるべきことを淡々と行って会社を維持すれば良いのであって、偶像性を維持すべく見栄を張る必要などない、と。これも大きかったですね。
問:メンバーの受け止め方はいかがですか?
「これまでは、自由な半面、具体的な目標がわからずやりにくかったが、何をどうすればいいのかが明確になった」という声が典型的ですね。
一方で、経営者団体の知人の言うとおり、当社も一定数の退職者が出ました。導入当初に識学コンサルタントに来てもらって説明した際は、異論反論は出なかったのですが、実際に導入しKPIを細かく設定し始めると「つまらなくなった」と感じる社員が出たわけです。
個人的に、人として大好きな存在であり、仕事でもよく頑張ってくれていたメンバーもいたので非常に残念でした。その社員は、風土が変わった会社のことを真剣に案じて去って行ったのでなおさらですが、退職後も付き合いは続けており、識学を導入した理由や意義は理解してくれています。
問:今後のさらなる課題やビジョンとは。
識学をインストールして、事業運営の土台ができつつあると感じています。その土台のおかげで個々がやるべきことが明確になるので、スピードアップに繋げていきたいと思っています。
問:最後に、同様の課題に悩んでいる経営者にメッセージをお願いします。
こうした経営課題を解決させていく上で、社長のトップダウンだけで行おうとすると、社長にも社員にも負荷がかかり過ぎるように思います。また、社長がそれまでのやり方を自己否定してマネジメントを一新するというのも難しいでしょうし、説得力や社員の納得感も不足するように思います。
そこで、外部の力を借りるというのは有効ではないかと思います。実績のある専門家に客観的に施策を示してもらうことで、そうした不足を補いスピードアップもできるでしょう。
インタビューイープロフィール
代表取締役社長 樋口裕貴
2つの大学で学び、26歳で卒業後、その前年に母親が創業したsoraプロジェクトにアルバイトとして入社する。主に営業職として社長である母親をサポートし、2012年に社員として正式に入社。2021年4月、2代目の社長に就任(前社長は会長に就任)。
新社長として“攻める会社”という方針を打ち出し、コロナ禍のようなリスクに備える観点からもWebマーケティングやシステム開発などの新規事業に打って出る。
会社紹介文
BtoBに特化し、リード獲得から育成までのインサイドセールスの代行、営業戦略の企画からリスト抽出、アポイント獲得までのテレアポ代行、およびWebマーケティング支援を手掛ける。特長は、平均アポ獲得率4.6%という高い品質レベルとリーズナブルな料金による「“ちょうどいい”インサイドセールス」。本社やコールセンターは福岡に置き、東京にも営業拠点を構える。
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