宮城県仙台市で「焼きとん」を主力として、4業態16店舗を展開しているエムシス。いよいよ東京への進出も果たし、全国に300店舗展開を目指している成長企業だ。
そうした目標に向け、組織マネジメント経験のなかった瀧川社長は、軸となるノウハウを得るべく識学を導入。幹部社員や店長の役割と責任を明確にし、働きやすい風土を実現させている。
その結果、業績は識学導入後5年間で3倍増と好調をキープ。そうした識学導入のプロセスと効用について、瀧川社長に聞いた。
会社名 |
株式会社エムシス |
所在地 | 〒980-0803 宮城県仙台市青葉区国分町3-6-11 アーク仙台ビル5F |
代表者名 |
代表取締役 瀧川 真雄 |
事業内容 | 飲食店の経営 |
企業サイト |
https://m-sysinc.jp/ |
問:御社の事業内容と特色についてお教えください。
当社は、仙台市内で主力の『焼きとん大国』や『元祖仙台ひとくち餃子 あずま』といった居酒屋のほか、ラーメン店を経営しています。
『焼きとん大国』の特色としては、市内の一等地にこだわり、あえて10~15坪という狭い店構えにして店舗スタッフとお客様との距離感を近くする店舗戦略を打ち出していることです。つまり“接近戦”で勝負していると言えますが、これでお客様との親密感を醸成してリピーターになっていただくことを狙っています。
また、メニューは奇をてらうことなく日常的に食べて頂けるオーソドックスなものをご用意し、週3回でも来店いただけるよう工夫しています。
問:人材戦略も工夫されていますね。
店舗スタッフのサービス力が大きな生命線の店ですから、人材の確保と定着、意欲的に働ける風土づくりに力を入れています。
具体的には、飲食店の二大コストである原材料費と人件費の調整です。一般的に原材料費は30%が上限と言われていますが、当社は25%に設定し、それが可能な業態としています。焼きとんの原材料であるモツは安価ですし、餃子も自分でつくれば非常に低コストで済みます。
そうして押さえた分のコストを人件費に回しています。当社は2021年に「初任給30万円」を打ち出しました。また、「月8日の公休」も打ち出しています。いずれも業界ではトップレベルと言え、応募者を増やし定着率を高めることに成功しています。業界では人手不足が顕著ですが、当社はおかげさまで人材に困る状況にはありません。
このようにして定着率が高まると、「同じ店にはいつも同じ顔がいる」という状況になり、常連のお客様を増やすことに繋がるわけです。当社の固定客率は70%ほどと、これも高いと言えるでしょう。
問:そんな御社が2019年4月に識学を導入いただいた経緯をお話しください。
私は大学4年になって飲食業での独立を決めたのですが、東京での学生時代に大手飲食店チェーンでアルバイトし、卒業後は仙台に帰って飲食業に入り、修業を始めます。最初は2つの居酒屋を運営する会社でしたが、個人事業の延長のような感じでした。2社目も同様な会社で、併せて5年ほど現場を経験し27歳で当社を設立したのです。
そういった経歴で始めたので、6店舗まで広げた2019年の当時、個人的に不安を覚えたわけです。当時は200店舗を目指していましたが、「これからもっと店を増やしていくのに、組織づくりのしっかりした考え方を持っておく必要があるのではないか」といった心配です。
当時、私は各店長を超えて店舗スタッフのところまで下りて話を聞いたりしていたので、何となく「これで200店舗を運営するのは難しい」といった思いもあったと思います。
そこで、組織づくりのコンサルティングサービスを探し始めました。
問:識学の導入効果はどのような形で出ているでしょうか。
まず、私が経営に専念できるようになって判断ミスが減りましたね。そして、管理職や店舗スタッフの役割と責任が明確になり、働きやすくなったと思います。店舗スタッフには「生ビールは2分以内に提供しているか」といったサービス品質に直結するKPIを設定しているので、接客レベルも維持向上できていると思います。
結果、2019年の6店舗から5年で16店舗まで、売上も4億円弱から11億円強までそれぞれ3倍に増えました。
しかしながら、中間目標である2030年までに100店舗というペースには遅れています。仙台に固めて出店するという戦略を取ってきたため、なかなか出店立地が出てこないことが要因です。
問:今後のビジョンと、さらなる識学の実践についてのお考えをお聞かせください。
最近、200店舗から300店舗へと目標店舗数をアップさせました。その一つの突破口として、東京で焼きとん店を2店舗経営する企業を買収し、2024年8月から事業を引き継ぎます。
この買収に先立ち、2021年秋に識学のM&Aトレーニングを受講しました。結果的によき買収を実現できたと思っています。
これから店舗が50店、100店と増えていくに従い、経営層の目が届かなくなると思います。したがって、識学の実行度をますます高めなければならないでしょう。末端の店舗スタッフ一人ひとりの「姿勢のルール」の徹底など、取り組むべきことはたくさんあると思っています。
問:最後に、読者である経営者にアドバイスをお願いします。
私は、自分が不得意なこと、できないことはその道のプロから学ぶことにしています。独自に試行錯誤するよりはるかに速く結果に繋げることができるからです。識学はまさにそうで、おかげで組織マネジメントの基軸にすることができました。こうした効用は非常に大きいと思っています。
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