できる限り数値化し、感情と数値を切り分ける
ーーなぜ識学に興味を持ち、入社することになったのか教えてください。
きっかけは、部下の質問に答えられなかったことです。会社の人事考課は、業績の定量評価と行動などの定性評価が半々で行われていましたが、同じ行動が別の部署では3点で、こちらの部署では2点なのはなぜなのか、という質問です。会社には明確な基準はなく、マネージャーの感覚や価値観で点数をつけざるを得ませんでした。
そんな問題を人事にぶつけても「上司が部下の行動を見て判断して下さい」と言うばかり。それ以上の回答は得られず、改善にも向かいませんでした。しかし、自分には当該知識がなかったので会社に提言することもできませんでした。この会社が好きだからこそ、より成長できるような組織マネジメントを学び、いつか恩返しをしようと識学に転じることにした次第です。ですから、この重要性に気づかせてくれた前職には感謝しています。
ーーこれまでのコンサルタント活動の中で苦労した経験を教えてください。
難しいことほどやりがいを感じるタイプなので苦労を感じたことはないのですが、一番難しさを感じているのは“感情のコントロール”です。識学は理論として正しくても、その理論を伝える側も聞く側も人間で、理論を用いて組織を動かすのも人間。人間は“感情の動物”なので、つい感情を制御できなくなる瞬間があるからです。感情に任せることは識学的ではありません。
ーーそれをどのように乗り越えたのか教えてください。
できる限り数値化し、感情と数値を切り分けることがポイントだと考えています。信頼していた部下が裏切るような行動をしても、感情に左右されるのではなく、その事実が数値目標にどう影響しているかを見る、といったようにです。
ーーこれまでのマネジメント支援(トレーニング)の中で一番印象に残ったケースを教えてください。
設問の回答にはなっていませんが、全般的に合意した改善策をきちんと実践している経営者はうまくいっている場合が多いですし、実践していなければ当然のように改善されません。後者の場合は、次回の期日までに実践してもらうことを約束するだけです。