言い訳思考を排除する仕組みづくり

“言い訳”の生まれない組織は、
事業成長を加速させる。

株式会社ギフト
代表取締役 田川 翔 氏

「ラーメンを、世界の贈り物に。」の理念の元、「町田商店」「ばってんラーメン」をはじめとする国内外の直営ラーメン店の運営やラーメン店のプロデュース事業を手掛ける企業。それが、株式会社ギフトだ。同社の創業者である代表取締役の田川 翔氏は高校を卒業後、横浜のラーメン店での6年間の修行を経て、2008年に東京都町田市で直営店第一号である横浜家系ラーメン「町田商店」を開業。そこからわずか10年足らずで、44店の直営店の展開や全国約350店舗のラーメン店プロデュース、さらには海外進出を実現した。現在は2018年の株式上場、国内・海外各1,000店舗を目指しており、その勢いは加速する一方だ。飛ぶ鳥を落とす勢いで急成長・急拡大し続けている同社のリーダーは、識学の理論をどのように組織マネジメントに取り入れていったのだろうか。その結果、組織にはどんな変化が起こったのだろうか。詳しく話を伺った。

部下が“言い訳思考”になるのは、
明確な責任と権限が与えられていないから

—識学を知った経緯についてお聞かせください。

1年ほど前に、別業界の経営者の方々と会食をする機会があったのですが、その場にいらっしゃった方々の中で3名が識学のトレーニング経験者だったんです。彼らの会話の内容や視点に対して興味が湧いて、後日識学の代表の安藤さんを紹介してもらいました。その際、識学のベースとなる「位置」に関する概念のお話などを聞いて、自分も受けてみようと決めました。

—当時、組織マネジメントにおいて課題感などがあったのでしょうか?

当社の組織の階層は、「社長→役員→ブロック長→店長→店舗スタッフ」という構造だったのですが、上から3番目の階層にあたる約6〜7店舗の直営店を統括するブロック長がなかなか育たないというか、こちらが期待しているような仕事ができていないことに対して悩むことが多かったです。しかし、安藤さんにお会いした際に、その原因は自分自身にあったのだと気づかされました。

—その「原因」とは、具体的にはどんなものでしょうか?

今振り返ると、当時は識学で言うところの「役割・責任・権限」がどれも明確ではなかったことが、ブロック長の成長を阻害する要因になっていたのだと思います。ブロック長と店長間、役員とブロック長間で起こっている問題に対して、僕が間に入ることがよくあり、「一個飛ばし」「二個飛ばし」が多発していました。

それが顕著に表れてしまっていたのが「店長会」です。当社は月に一度、店長以上の階層の社員が集まる店長会を行っているのですが、その会の後には必ず飲み会を開いていました。僕も毎回両方に参加していたのですが、飲み会の場で各店舗の店長達から「最近こういうことで悩んでいて……」という相談をされると、その場で「じゃあ、こうしたら良いんじゃない?」とか、「この前、お店に行った時はこういうことを感じたよ」というコミュニケーションを何気なく取っていたんです。その結果、店長は僕から言われた意見とブロック長から言われた指示を天秤に掛けて、自分にとって都合の良い方の話を選ぶようになっていました。すると、僕の言葉は店長にとって「免罪符」になり、ブロック長から言われたことができなくても「いや、社長がこのやり方で良いと言っていました」という言い訳を作るきっかけになっていたんです。特に、在籍期間の長い店長ほど、僕や役員の意見を優先してブロック長の役割が機能しにくい場合が多かったですね。

ーその他にも「免責」に関する組織間の問題はありましたか?

ブロック長達も、役割・責任・権限が明確になっていないことで言い訳思考になっていました。例えば、「店長やスタッフの離職率」というのは、本来であればブロック長の責任であり、評価ポイントのひとつ。しかし、以前、ある店舗の店長が仕事のことで悩んで離職しようとしていた時に、直営店の事業のトップである専務が「じゃあ、俺が彼と直接話してくるよ」と出て行って、その結果離職を回避できなかったことがありました。すると、ブロック長は「専務が言っても駄目だったんだから仕方ない」という思考になってしまったんです。

こういった問題を解決するには、組織を「言い訳のしようのない状態にすること」、つまり、不足を明確にし、そこを埋めるために何をするべきかそれぞれの階層が理解し、行動できるようにする必要があるのだと、識学をきっかけに痛感しました。

社員・アルバイト全員を
完全結果で管理することで不足を明確に

—識学のトレーニングを経て、「不足を明確にする」ためにどんなことに取り組まれたのでしょうか。

誰が誰を評価するのか。何が評価項目なのか。各階層がどんな責任を負っているのか。与えられた役割を全うする上でどんな権限が与えられているのか。これらが全て“イコール”の状態になっているかどうかを全面的に見直し、修正しました。そして、階層ごとに全員を横並び、つまり同じ成果指標で管理することで、言い訳の生まれない状態にしました。

—具体的にはどういった成果指標を用意されたのでしょうか。

例えば、店長に関しては「売上予算に対しての達成率」「フードコストの管理」「人件費の管理」「アルバイトから社員への昇格者数」「三六協定の遵守」「MS(覆面調査)の点数」「金銭管理」「衛生検査」「離職」といった計26項目の評価基準で各項目点数を付け、学校の試験のように順位付けして、毎月全店長に共有しています。そして、その点数によって、賞与やインセンティブが変動するように仕組みを一新しました。

重要なポイントは、「定量的な数値を出せる評価項目であるかどうか」。識学の言葉で言うと、「完全結果による評価をすること」です。自分は何ができていて、何が足りていないのか。何をすれば評価が得られるのか。そして、「100点満点とはどんな状態か」が誰が見ても分かる状態にすることが、お互いの認識のズレを生みださないようにする上で必要だということを識学のトレーニングで学ばせてもらったので、とことんこだわりました。

また、店長だけでなく、一般社員やキャスト(アルバイト)の評価も、ホール・調理共に可能な限り定量的に測れるようにしています。その上で、各項目1〜7までの星で評価し、キャストは「星を何個得られたら、何円時給UP」、一般社員は「全項目の星の平均が5以上でなければ店長試験を受けられない」というルールを設けました。

—それまでは店長はどのように評価されていたのですか?

「あの店舗、最近売上が良くないから評価を下げよう」とか、「あの店舗は結構優秀なスタッフが育っているみたいだから評価を上げよう」といった、基準の曖昧な評価しかできていなかったです。

ー各階層を完全結果で管理することで、どんな変化がありましたか?

まず、働いている人達にとっては不平等を感じなくなったのは大きな変化でしょうね。

それと、管理する側の視点が以前と大きく変わりました。以前は低い評価をしていた店長がランキング上位に入ったり、逆に高く評価していた社員が下位になったり……という真逆の結果が出ることもありました。

ただ、これも、結果ではなく経過、つまりプロセスに対して寄り添い過ぎていた僕に責任があるんです。それに気づかせてくれたのが、「社長を評価するのは“市場”。そして、市場は社長を“結果”で評価する」……という講師の安藤さんのお話でした。例えば、ある最新のスマートフォンが発売され、その製品をつくった会社の社長が「この製品は前機種とそれほど大きく変わっていないけれど、今までで一番社員達が頑張ったんです。だから、その頑張りを評価してください」とプレゼンしたとしたらどう思いますか?消費者の立場からしたら、「そんなのまったく評価に値しないよ」と感じますよね。そう、会社は「その商品が良いか悪いか」でしか判断されない。なのに、その過程で評価されようとするのはおかしい。それは市場と社長に限らず、組織に所属しているどの階層のメンバーも同じこと……というのを論理的に教えていただいたことで、「実はプロセス評価をすることの方が残酷なんだ」と気づかせてもらいました。

もちろん、プロセスを否定するわけではありません。しかし、それは評価の対象にはならないし、モチベーションが高いかどうかも評価には関係ない。求める結果に最短で届く人=優秀な人……と、評価軸がブレなくなったことは、組織に良い影響を与えていると思います。

識学を熟知していれば、
1,000店舗経営も困難とは感じない

—業績面にも何か変化はありましたか?

識学だけが結果の要因かどうかは分かりませんが、業績は上がっています。黒字ではあるものの、今まで二十数カ月連続で昨対の売上を割っていたのですが、識学のトレーニングを受け終わった後からはほぼ毎月昨対を超えていて、直近の売上も利益が向上しています。

—役員3名とブロック長4名にもトレーニングを受けていただきましたが、皆さんそれぞれに変化はありましたか?

全員トレーニングの内容に関して腹おちしたようで、識学に対する抵抗感はなかったみたいです。どのメンバーも、抱えていた課題がクリアになりました。彼らの責任や権限が明確になったことで大きく変わったのは、僕の時間。プロセスには一切付き合わず、結果だけで管理・評価をするようになったので、以前は僕が先陣を切っていた店長会も、オブザーブで見ているだけ。しかし、会議の内容は昔よりもブラッシュアップされています。

識学を受けるまでは、三十数店舗の経営で「結構しんどいな……」と思っていましたが、今は無限に組織を大きくしていくことが出来るのではないかと感じています。識学の考え方を熟知していて、マネジメントの仕方を間違えなければ、今目標としている「1,000店舗経営」も決して難しいものではないな、と。

ー最後に、どんな人に識学を勧めたいかお聞かせください。

識学は誰でも受けた方が良いと思いますよ。ただ、「識学としては間違ったマネジメントであっても、社員と密なコミュニケーションを取り続けたい」という経営者の方は、よほどカリスマ性があって、ずば抜けたコミュニケーション能力がなければ、識学のトレーニングを受けても組織を大きくしていくのが困難になっていくかもしれません。

それと、ミドルマネジメント層の成長に違和感や不満を持っている経営者さんにも、ぜひ受けていただきたいですね。「部下が育たないのは自分の責任だった」……と気づかされるきっかけになると思います。業態や商品・サービスが受け入れられないのは、時代の流れや先見の明といった理由が色々あると思いますが、組織に関する問題は、確実に経営者自身に責任があります。

会社名 株式会社ギフト(旧 株式会社町田商店)
設立 2009年12月(創業2008年1月)
所在地 〒194-0013
東京都町田市原町田6-27-19 平本ビル1F/2F
代表者 代表取締役 田川 翔
従業員数 174名、パートアルバイト345名(2016年11月 現在)
事業内容 飲食店の経営
ホームページ http://www.gift-group.co.jp/index.html

 

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